転んだ

痛い

 

そこで初めて自分が走っていたことに気がついた

 

「どうして足なんか引っかけたの?」

 

と聞いたら

 

「そっちじゃないよ」

 

と教えてくれた

 

「じゃあどっち?」

 

と聞いたら

 

「そっちじゃないどこか」

 

と教えてくれた

 

「こっちでもないから着いてこないで」

 

とも教えてくれた

 

痛みが走って

 

傷と目が合った

 

口の中を切ったみたいで

 

血の味を思い出し

 

そこで

 

おかえりって言ったような気がした

 

ただいまと聞こえた気がして

 

私は少し

 

畏がっている