二兎追う矛盾

硬い靴の底を鳴らしながら歩いて己の存在を誇示する繁華街と、

なるべく影が地面にうつらないようにと街灯の少ない道を選んで歩く住宅街。

 


眠れない夜に、死んだように眠る一日。

 


将来の希望と、未来への不安感。

 

人を傷つけたらいけないという倫理と快楽を求める欲望。

 


表現の無限性と同時に存在する言葉の有限性。

 


反発し合うのは、対極のふたつを抱え込んでひとつにしようとするから。

 

それでもその矛盾の中でまだ苦しんでいるのは、どちらも含んだ私でありたいから。