Amazonを本屋と呼ばせるな

最近、レム睡眠しかできていないように感じていた。

睡眠のメカニズムに関しては無学なので、そんなことないのかもしれないが。

 

深く眠れていないような日々が続いていた。

寝始めてから起きるまで夢を何遍も見続けているような感覚。

しかし、久しぶりに今日は深く眠れたように思う。

 

昨日の晩の情緒は暴れ馬のように乱高下し、

過剰にひとりの夜をとくと味わって、

落ち着いて眠るのに一人で四苦八苦した。

少しだけ薬を増やしてやっとのことで眠ったのだが、

朝起きるとMacbookから森山直太朗が流れており、

画面を見ると、何百文字にわたる、夥しい呪詛の数々がこの編集画面に並んでいた。

 

 

そっと下書きに保存した。

 

 

今日はまた別の話を。

 

私は無色。

 

間違えた。無職だ。変換ミスだ。断じてポエマー(笑)の血が騒いでいた訳ではないことをここに主張する。

 

そう、私にはお金がない。

 

そんな今の私の天敵であるのは

 

書店だ。

 

やつら、特殊な磁場を店内で発してでもいるのか、

書店に一歩足を踏み入れたら最後。

 

私は今の境遇を忘れて、気がついた時には

レジ横に置いてある小さな端末が

クイックペイ

と甲高い電子音を発している。

 

誰か私を止めてくれ。

 

今は都合よく、緊急事態宣言が発令されている。

 

私が書店に足を運ぶ行為は誰がどう考えてみても不要不急。

 

私が目的意識を持って書店に足を運ぶことはほとんどないからだ。

今、欲しい本は書店に足を運ばなくても手に入る時代に変わりつつある。

それがどうして、外出してしまった矢先、序でとでも言うかのように足が吸い込まれてしまう。

意識が戻った瞬間には時すでに遅し。

クイックペイ、と端末が鳴いている。

 

誰か私を止めてくれ。

 

今日は故あって、神保町まで足を運んだ。

少し大事な用事であったので向かったのだが、

私は神保町という町が好きなので、

自制をするのに苦心した。

 

目的地で用事を済ませ、

気に入りの喫茶店で休憩をしてから帰ることにした。

 

しかし、喫茶店を出た後に、なんとも間の悪い尿意に襲われた。

 

神保町のど真ん中(がどの辺かは知らんが)で、小規模の店舗に入り、

「すみません、お手洗いをお借りしてもよろしいですか?」と訊く勇気もないし、

買い物客のフリをしてトイレを借りることも道徳に反する気がしたので、

 

神保町のランドマークであるかのように高いビルを丸ごと使って展開している

某大手書店様のトイレを借りることにした。

それでも多少の罪悪感は感じるのだが。

 

花を摘みながら雉撃ちを済ませ、手を拭いて部屋を出ると、

そこは文学のフロアだった。

先日読んだ『推し、燃ゆ』はやはりかなり売れているらしく、

平積みで大きく展開されていた。

同じ棚には、同著者のデビュー作で、最年少で三島由紀夫賞を受賞し、

文学界隈の話題を掻っ攫っている『かか』が並んでおり、

購入を考えていたのを思い出し、手にとって眺めた。

 

その刹那、理性の平手が私の頬をビンタした。

いかんいかん。我に帰り、書店を後にした。

自分の忍耐力に拍手喝采

 

奴らはやはり特殊な磁場を発しているに違いない。

憎き。許すまじ。

 

入ってきた入り口から店を出ると、目の前の某画材店兼雑貨店があり、

アートフェアのポスターが目に入り、なんとなく足を踏み入れた。

 

私は長いこと意識を失っていたようで、

気づいたら店内では「蛍の光」が流れ出し、

商品を手に、レジに並んでいた。

 

(買ったものはやはり自慢したくなるので、紹介しようと思う。)

ゴッホデュフィのポストカードに、

フェルメールのコンパクト、

それに、中原淳一という素晴らしい画家と出会い、

中原氏デザインのマグカップを購入。

その後古書店を巡り、氏の書籍を見つけ出して購入。

立派なショッピングを楽しんでしまった。

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どうやら、磁場はいろんな場所に発生しているらしい。

 

それがどうだ、もし、私がウインドウショッピング的インターネットの効率的利用に長けた人間であったら、と考えてもみてほしい。

 

まだ間に合う。

 

誰か私を止めてくれ。