勿忘草は、1日放っておくだけで、そこここに花殻を増やす。
私がだめな日は、花もだめになる。
今日の夜の音は私には厳しい。
だから勿忘草の花柄を摘んであげていたのだけど
その時ふと、花が咲いていることに私の命を発見した。
育てているんじゃない。生かされているのか。
ルピナスは蕾が少しだけ花が開きはじめ、
ストレリチアは真ん中の新葉が少しずつ広がっていっている。
彼らをみていると、急かされる。
ああ、咲かせなきゃ。
花を育てようと思ったきっかけは、よしもとばななの『キッチン』だ。
私の部屋は散らかりすぎて、どこにあるかがわからなくて、
感銘を受けた一節を一言一句思い出すことができないから詳しくは読んで欲しいんだけど、
まさに私は、
人間としての程度を把握することに、
花を育てることはもってこいだと実感する。
どうしても咲かせたいから、ちゃんとする。
ちゃんとできない日は、花が元気をなくす。
花が元気をなくせば、私は生きなきゃって思う。
時期を待たず枯らした時はショックで立てなくなるような気がする。
話は少し変わるが、一輪挿しの花瓶にはスカビオサが挿さっている。
数週間前に迎えた花だが、まだ元気に咲いている。
切り花は、育てるものではない。
宿命的に、すぐに枯れてしまうものだ。
いつ枯れるのだろう、と
私は一輪のスカビオサを毎晩眺めては寂しくなる。
枯れるのを待っている。皮肉だ。
この花が枯れる時は、この花瓶にはどんな花が挿さっているのだろうか。
今はとても考える気にはなれない。