おもんな

起きなきゃ。

 

起きる、と言うのは頭をはっきりさせるために、

 

布団をはいでベッドから脱出すること。

 

花瓶が背中を押してくれるもんだと思ってた。

 

花瓶の水を変えなければ。大義名分。

 

しかし、こんなにベッドの近くにあるのに。

 

近くに、花瓶が、あるのに。

 

ベッドの近く、花瓶。

 

知覚過敏

 

ハア。

 

昨日はほとんど動いていないのにオーバーワークでもうHPがゼロだった。

 

ニートニートなりにやることが多くて

 

本当は役所に行かなきゃいけない日だと言うのに

 

今日もほとんど何もできていない。

 

もう朝は15時をすぎた。

 

しかしそこで私が窓を開けると、

 

私を呼ぶ声がどこかから聞こえた。

 

無機質なクリニックにうっすら流れる「卒業写真」のオルゴールアレンジ。

 

予想外の出費で慄いたざらざらとした活字の並ぶ病院関連の領収書。

 

店内の幾つもの樽に山盛りになった生豆独特の渋い匂いに、

 

お菓子でも焼いているのかと錯覚するような焙煎の香ばしい匂い。

 

家で入れたコーヒーはミックスナッツのような甘みが口に入れて数秒後に舌を包んだはずだ。

 

五感はこんなおもんない脳みそよりも有能で、

 

一日のいろんなことを覚えている。

 

 

今日は満月なんだろうか。

 

こんな時間に月が綺麗だとかはないけど、

 

そもそも月が綺麗だなんてここ数ヶ月本心から思っていないことだけど、

 

それをみて何かを思うことは変わらない。

 

「月が綺麗だね」

 

言いたくても言えない人と、

 

言えちゃうけど言ってはいけない人。

 

後ろを歩く人の硬い靴音がイヤホンを貫通し、

 

アッパーな長澤のバスドラに合わせた私の足音に

 

ハイハットを叩いてくれる。

 

長澤と、あなたと私のアンサンブル。

 

五感が今日もおもんない脳みそにちっちゃいめの絵筆で

 

ほんの少し色をつけてくれている。

 

今日は気分もいいかもしれない。

 

だから少しの時間は

 

いつの間にか誰もいなくなった黄色い部屋のに残った

 

君の面影をなぞって、手紙を認める。

 

 

緊急事態宣言の期間が延長される線が濃厚らしいですね。

色々キモチを抑えなくてはなりません。

私はよく散歩をしていますが、みなさんもどうか体には気をつけてください。

 

本当は、ボブディランをコインロッカーに閉じ込めてでも、

今すぐ会いに行きたい。