落伍者の朝は今日も遅い。

役所に行かなきゃならなかった。

 

起きたのは朝の15時。

 

役所に電話をかけた。

必要書類が足りなくて無駄足になることを先に気づいた。

役所は諦めた。きっと行くのは数週間後だろう。

誰か引きずって連れていってくれないかな。

 

昨日の夜は、寂しくて、

怖い夢を見たことを思い出す。

怖い夢を見て起きたこと、だけを思い出す。

 

朝起きると、カーテンが開けろ開けろうるさくて、

開けてあげた。

 

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すると、昨日買った霞草に包まれたデルフィニウムの花が陽光の反射が照らしていた。

そうだ、今日は陽が上がるのを待っていたんだった。このために。

 

この時期は水は毎日買えなくてもいいんですよ。

そう言われたけど、

生きた心地が欲しくて花瓶の水を変えた。

 

 

昨日靴を買った。

どうも、新しい靴を履くと踊りたくなる。

まだ開けていないので、ベッドから降りてすぐに靴を履いた。

小躍りを、知ってる限りのステップを踏みながら歯磨きをした。

 

最近着るようになったパジャマから着替えるには脱ぐしかなかったので、

新しい靴は玄関に持っていった。

 

 

昨日の怖い夢のせいか、人恋しさが爆発していた。

近くに住んでいる友達にかたぱしから電話をかける。

 

夕方から二時間程度だけ茶(珈琲)をしばくのに付き合ってくれる酔狂な友は

今日は見つからなかった。

 

二時間ほど、窓辺の、霞草に囲まれた幸せそうなデルフィニウムを眺めながら、ギターを、久々に軽やかなコードで弾き殴った。

 

まだ、有意義とは言えない時間を過ごしていたら、

 

玄関で新品の靴が待っていることを思い出した。

安売りで友達とセットで安く手に入れた革靴。

 

ジャージで出かけようかと思ったが、靴のために少しだけまともな服を着て、

踏める限りのステップを踏みながら茶(珈琲)をしばきに行こう。