right

こつ、こつ、こつ、と

 

ハイヒールがアスファルトを突く。

 

その強かな音はまるで、

 

こんな真夜中に行き先をわかっているようだった。

 

私も連れて行って欲しいと思った。

 

強引に、私の部屋の中に入ってきたのだから、

 

責任を持って私を連れて行ってよと思う。

 

夢でもいいから。 

 

 

私は一人では間違いが多すぎる。

 

今日も何回も間違えた。

 

今夜も夢に見るのは誰かの後ろ姿。

 

右でも後ろでも正面でもない。

 

今も、

 

遠ざかっていく靴音。

 

 

 

私の右側に、

 

強かで高慢な、

 

まるで正解を知っているかのような

 

少し硬い靴の音が恋しい。

 

 

今日は無性にこれが聴きたくなった。


藤田悠治 ハイヒールvol.2

 

 

今日も寒いね。どうかご自愛ください。

 

元気になってね。