秒針が止まった日から

上野の街を歩いている。

いつもの道。

上野の街に出るときは、

日比谷線のホームから広小路口に向かう。

誰かと待ち合わせしているときは、

出口の近くの花屋で花を見ながら、

たまに何か買ったりしながら待つ。

 

外へ出ればすぐ、

美術館の特別展の広告のフラッグが目に入る。

あの日来た時から変わっていない。

時間が止まっているみたいだ。

時間だけが、あの日と変わらず動かないようだ。

早く変わってくれないかな、

そう思う心とは裏腹に、

フラッグと同じ絵が描かれた紙切れをいつまでも左手のポッケの中で握っている。

 

きっと、

 

時間が流れたら、

 

それを止められない時が来たら、

 

私は泣くのだろう、

 

か。

 

ならば、いっそ逆に

 

 

いつまでも変わらなければいい。

それでいいや。